本当に自宅はSOHOとなりうるのか?
突然、自ら試してみることになってしまった..!


いきなりだが、朝早くからの隣接地でのマンション工事に耐えきれず、たった2年しか住んでいない苦労して手に入れた戸建てマイホーム(勿論地獄のローン付)から脱出することになってしまった。
 隣接駐車場は地価の暴落で10年は塩付けだろうとの見込も、ギルドの不動産専門家仲間からは「甘い」の一言。愛犬専用の超贅沢なドックラン場と化していた深夜の代々木公園ともお別れするはめに...(T_T)。
 妻の妊娠や出産後の子育てを考えれば、3メートルしか離れていない場所でのボーリングや杭打ちに対して、徹底抗戦の住民運動でなく脱出という方法しかとれなかった我が身が情けない。「ウチが出ていったあとに怪しい新興宗教団体が入居しても責任はとれませんよ」という捨てぜりふと交換に、なんとかデベロッパーから僅かな引っ越し費用だけはゲットしたものの、今回の騒ぎでいかに日本の住宅行政や業界が住む人の側に冷たいか身に染みて理解できた。
 一番驚いたのは、工事に同情的な行政や警察をしても”土地の狭い都市の論理”である業界の開発優先の法則だけは変更できなかった、ということではない。他の近隣住民があまりにも従順であり、地鳴りの様な騒音も仕方ない、ただ耐えてしまうという「忍のひとたち」であったという現実だ。
 以前から疑問だった、在宅ワーカー系SOHOの人たちが「こんな狭い自宅でどうやって仕事しろというのよ、せめて行政や企業はワークペース拡大の為の支援をしてよ」と主張しない理由も今はなんとなくわかる。つまり「狭いのは仕方ない、そうゆーものだから」という観念から抜け出せれないのだ。
 そうした背景から、SOHO空間ビジネスにあま〜い香りを嗅ぎあてつつある一部の行政、不動産、建設業界のアンテナは間違ってはいないと思う。SOHO増加に対応した容積率緩和、SOHOリフォーム支援、過疎地へのSOHO誘致、ファイバー装備SOHOハウス、サテライトSOHO、あるいはSOHOビルド融資...。
 おそらく2010年までに急速にこの業界が「SOHOだから広い家を持とう!」という逆転キャンペーンにシフトしていくことは間違いない。なんといっても、建設関係700万人の90%が大失業寸前のSOHOであり、住む側も開発する側も、「ワークスペース拡大・快適SOHO環境」作りについては大賛成なのだから。
 というわけで、次回からはカモメのインターネット検索で探し出した超格安のレンタル物件である新居兼オフィスの「赤坂SOHO」(引っ越しついでに表参道の会社も統合させてしまった!)から、犬・ベビー・奥サン・スタッフ大合流の怒涛のSOHO実験ライフレポートをお送りする予定でごじゃりマス。乞うご期待〜!

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●河西保夫(プランニングプロデューサー・SOHOギルド事務局代表)
「月刊SOHOコンピューティング」98年7月号原稿よ


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