「SOHO=電脳内職」報道を巡って大/小SOHO主義が激論?


 朝日新聞の「SOHO=電脳内職」報道を巡って、SOHOメーリングリスト(参加者約500人、入会方法は、ギルドHP番組参照)内でにわかにSOHO論議がおこっている。こと のおこりは、最近の大新聞のSOHO報道の傾向に「SOHOとは脱サラ開業、在宅ワーカービジネスである」という、まあ世間からみれば最も理解しやすいSOHO定義に対する、各種スタンスのSOHOからの反発と、そもそもSOHOとは何であるか?という素朴で重要な問いである。

 以前にも書いたが、この問題には大きく二つの考えがある。ひとつは、10人から20人以下の事業所で働く人たち全てをSOHOと見る「大SOHO主義」。この中には、大企業のテレワーカーから、年商何億というベンチャー、あるいはNPO、在宅SOHO予備軍、 不労所得シルバーSOHOまでがはいる。SOHOの特徴であるデジタル環境については、あくまでビジネス支援ツールでしかないという「何でも来い」的スタンス。

 もうひとつは、あくまでサイバーな環境条件に固執する「小SOHO主義」だ。これは マスコミが好んで取り上げる自営のデジタル職人やPC系在宅ワーカーが本来のSOHOで あり、既存の中小零細企業や非営利のNPOとは一線を画す見方である。  もちろん、どちらが本物のSOHOであるか、などという野暮なことをいうつもりはな いが、SOHOという言葉がいずれ社会的にも大きな意味をもち、現在のベンチャーや中 小零細企業という言葉とは異なる意味で日本社会の中に定着していくとしたら、この SOHO定義は慎重かつ素早くなされないとならないだろう。

 なぜなら「SOHOが電脳内職ならば、自分達プロフェッショナルは、もうSOHOという 言葉は使用しない」「安価な自宅労働力としてのSOHOブームを女性在宅SOHOは拒否す る」と言う声ばかりか「せっかく行政や大企業組織でもテレワーク、SOHOシフトが注 目されているのに、ここで後退するのは無念だ」という各方面からの意見があるからだ。

 幸い毎日新聞をはじめ、他のメディアもカウンター記事を用意するなど、いまはSO HOに対する関心が高いので、今後議論が閉塞することはないと思うが、SOHOのもつ多 様性と可能性を、単純な思い込み報道で潰されてはならないだろう。多くの立場のSO HOが「自分はここにいる!」ともっと自己主張をしていかない限り、現在のSOHOブー ムには、まだまだ社会化とは程遠い軽さと危うさがあるような気がする。

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●河西保夫(プランニングプロデューサー・SOHOギルド事務局代表)
「月刊SOHOコンピューティング」98年4号原稿より


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